一年間を24に等分して、それぞれに季節の名前をつけたものを「二十四節気」といいます。二十四節気の12番目の季節が「大暑」です。
ネット上に、二十四節気について記したサイトはあふれていますが、その深い意味を分析したサイトは見当たりませんでした。
そこで、このサイトの二十四節気の記事では、西洋占星学・十二支・陰陽五行・八卦などの視点から分析し、二十四節気を成長に活かすための方法についての考察を記しています。
1 とにかく活力をみなぎらせる
2 何かを創る活動をする
3 まわりの人たちを楽しませる
ざっくり知りたい方のための一般的な「大暑」の意味・行事・食物など
2019年の大暑はいつ?
2019年の大署は、7月23日(火)から8月7日(水)です。
大暑の一般的な意味とは?
暑気いたりつまりたるゆえんなればなり(こよみ便覧)
大暑は梅雨が明け、一年でもっとも暑さが厳しくなる頃です。
気温的には次の立秋が暑さのピークですが、立秋をすぎると秋の気配が流れてきますから、夏の最盛期はやはり「大暑」です。
大暑の日には「打ち水」のイベントが行われたりします。全国的に花火大会が開催されるのも大暑の期間です。「土用の丑の日」もこの時期です。
ねぷた祭りが開催されたり、大暑の最後には仙台の七夕祭りがあります。
熱中症に気をつけて、夏を謳歌するタイミングですね。
大暑の初候・次候・末候は?
ひとつの節気を約5日ずつ3つにわけたものを初候・次候・末候と呼びます。二十四節気×3で、これをまとめて七十二候と呼びます。
● 第34候【大暑の初侯】… きりはじめてはなをむすぶ(桐始結花)
● 第35候【大暑の次候】… つちうるおいてむしあつし(土潤溽暑)
● 第36候【大暑の末候】… たいうときどきふる(大雨時行)
【初候】きりはじめてはなをむすぶ(桐始結花)
桐は太古から尊ばれてきた木です。
菊と同様に皇室のシンボルであり、過去は武家の家紋にも用いられました。いまでは500円玉のデザインにもなっています。中国では伝説の鳥である鳳凰がとまる唯一の木として尊ばれてきました。
「花を結ぶ」とは、桐は大暑のころに来年の花のつぼみをつけることを指しているといいます。
【次候】つちうるおいてむしあつし(土潤溽暑)
梅雨のじめじめとは違う、暑くてじめっと蒸し暑い時期です。大地は梅雨の恵みを受けたあと、太陽の照りつける熱さを受けて、土中の水分を蒸発させてさらに蒸し暑くさせています。
最高気温が30度以上の真夏日や35度以上となる猛暑日も増えてきて、風鈴の音に涼しさを感じる時期ですね。
【末候】たいうときどきふる(大雨時行)
ふと空をみあげると入道雲が立ち上っています。夕立やにわか雨などが降るときです。真夏のオアシスのような恵みの雨かもしれません。
映像で感じる大暑
二十四節気を成長に活かすために、ちょっと深く「大暑」を考察してみます
次に、二十四節気を成長に活かすために、「大暑」の意味を深く考察してみます。
1. 西洋占星学から深める「大暑(獅子座の前半)」の意味とは?
大暑は、十二星座の「獅子座の前半」に対応しています。
獅子座は個性の星座と呼ばれるように、個人の輝きを最大限に表現することがテーマとなる星座です。
その前の蟹座では、身近な共同体に個が吸収されてしまう経験をしました。それはそれで集団の心地よさに包まれるという大切なステップなのですが、それだけでは、世界にたった一人の個人のオリジナリティや創造力は埋没してしまいます。
獅子座では、牡羊座で目覚めた意志、牡牛座で発掘した資質、双子座で手に入れた知性、蟹座で手に入れた感性を最大限に活用して、世界に向けて自らの個性を発揮しようとします。
百獣の王ライオンのように、高らかに自分自身を宣言するのが獅子座のテーマです。
獅子座はまた創造性の星座とも呼ばれます。獅子座は燃え上がるような活力をもっています。その活力は何らかのかたちで表現されずにはいられません。芸術、表現、アートなど、方法はなんでも良いのですが、とにかく何らかの手段で個性を表現し、創造しようとするのが獅子座です。
獅子座の前半では、燃え上がるような生命力が吹き上げてきます。これをどのように扱うかがひとつのテーマとなります。
自己表現や自己顕示の欲求も高まります。創っては破壊するようなプロセスも生まれます。他者との交流や遊びのなかで、外側の世界に向かってどう自分を印象づけるかなどを学んでいきます。
大暑とは夏の暑さが極まった時期です。
大暑は他のどの季節よりも地球が熱く熱せられる時期です。次の立秋になると秋の気配が入りこんできますが、大暑はこれ以上にないほど夏が極まったときです。
これは、マグマのように熱い創造的エネルギーが内面から突き上げてくる獅子座の前半とぴったり呼応しています。
実は、ひとつ前の小暑(蟹座の後半)は、この創造的な活力を養っている時期でもありました。一度個人が共同体のなかに吸収されることによって、大地のエネルギーを吸収して力強い活力へとなるのです。
小暑で培った力を大暑で思う存分発揮するわけです。
(1)創造的な活力を爆発させる
(2)個性やオリジナリティへの自負をもつ
(3)自己表現や創作の方法を模索する
2. サビアン占星術から深める「大暑(獅子座1〜15度)」の意味とは?
ここではサビアン占星術における5度ごとの意味から大暑を考察してみます。
サビアン占星術では、各星座が30度にわけられており、その5度ごとにテーマがあります。これは二十四節気が約5日ごとにわけられているのに対応しています。
● 獅子座の第一グループ = 大暑の初侯「きりはじめてはなをむすぶ」
● 獅子座の第二グループ = 大暑の次侯「つちうるおいてむしあつし」
● 獅子座の第三グループ = 大暑の末侯「たいうときどきふる」
誰にもかまわず生命力を爆発させることがテーマ
第一グループは大満の初候(きりはじめてはなをむすぶ)に対応しています。
このグループでは、火のようなエネルギーに突き動かされて行動します。
何からも自由に、湧き上がる衝動のままに行動しようとします。蟹座のように周囲に気を使って我慢する必要はありません。表現手段は未熟で、言動は荒削りでも、そこにはライオンのような自分が自分であることを誇る意志があらわれてきます。
大暑の初候は「きりはじめてはなをむすぶ」です。
桐は鳳凰の木であり、皇室や武家といういわば王者のシンボルのひとつとして尊ばれてきました。
獅子座もまさに桐のような王者の要素をもつ星座です。ただし、第一グループでは、それはまだ蕾の段階です。
気高い気持ちをもちながらも、それをどのように扱ってよいかはまだわかっていない段階です。暴走には注意ですが、暴走するぐらいにエネルギーを高めることがテーマでもあります。
個人の創造力を磨き上げることがテーマ
第二グループは大暑の次候(つちうるおいてむしあつし)に対応しています。
前のグループにおいては、荒ぶるほどに活力を増幅させることが重要でした。第二グループでは、このエネルギーを創造的に使って個性的な活動をします。
蟹座では共同体と同一であることが重要でしたが、獅子座では「気高き個人」であることが重要です。そこでは他者との違いが否応無しに強調されます。誰とも違う「自分」を発揮しようとするからです。
ここでは賞賛と孤独が切っても切れません。他者と違う何かを創造することで賞賛を得ますが、他者との間には埋めがたい違いが生じることになります。
第二グループでは、創造的な活動に取り組むことが必要です。手仕事、イラスト、彫刻、工芸、機械いじり、、、手段は自由ですが、湧き上がる活力を建設的な活動に発揮します。
大暑の次候は「つちうるおいてむしあつし」です。
土を潤している水分は、蟹座でためこんだ情感の水です。獅子座では、その水分を熱で蒸発させます。蒸し蒸しとした濃密な空気こそ溢れる創造力そのものです。
どんな方法でも良いので、この活力をいかして具体的な何かをつくってみましょう。作ったり壊したり、表現方法を探して放浪したりすることもあるかもしれませんが、それもまた創造力を磨き上げるプロセスの一部です。
自分を演出し、まわりを盛り上げることがテーマ
第三グループは大暑の末候(たいうときどきふる)に対応しています。
第一グループで激しい火を燃やし、第二グループでそれを個人的な創作活動に発揮し、第三グループでは他者との交流のなかで演出能力を磨きます。
第三グループは、創造的なエネルギーを広げることがテーマになります。
個人の世界のなかでモノ作りに励むという第二グループとは違い、第三グループは他者との接点のなかで、自分をどう見せるか、どう演出するか、どう楽しませるかを模索する時期です。
獅子座はエンターテイナーの星座ですが、この資質を磨くのが第三グループです。
大暑の末候は「たいうときどきふる」です。
雨は自分以外のものを潤します。じりじりと暑い夏の最中に降る雨は、大地の生き物を喜ばせます。
これは、個人的な範囲で創造力を磨いていて第二グループを抜けて、自分以外のものを意識して、彼らを盛り上げるためにエネルギーを使おうとする第三グループの特徴と一致します。
自己中心的な星座である獅子座は、他者との距離感をうまく掴めないことが多いでしょうが、演出家やエンターテイナーという立ち位置でみんなを楽しませることは得意な分野です。
初候 自由に、奔放に、溢れるエネルギーをより高めます
次候 個性にあったクリエイティブな活用に取り組みます
末候 他者を意識した創造力の使い方を学びます
3. 十二支・陰陽五行・八卦から深める「大暑」の意味とは?
大暑に対応する十二支、陰陽五行、八卦はこちらです。
● 十二支・・・「未」
● 陰陽五行・・「土(ど)」
● 八卦・・・・「坤(こん)」
未(羊)は、植物が生い茂って暗く覆うことを意味しています。
未は蟹座の後半と獅子座の前半に対応しています。
「未」という漢字には2つの解釈があります。一つ目は「眛」で「鬱蒼と茂って暗く覆う」という意味があり、二つ目は「味」で「果実が熟した状態」という意味があるといわれています。ここからは何かひとつのものがピークを迎えた状態をイメージできます。
また「未」という漢字には「未来」「未成年」「未熟」など「いまだ〜ない」という意味があります。ここには未来に向けた可能性や成長を示唆するイメージがあります。
これらは、蟹座の後半でピークを迎える集団への帰属と、個人の創造性を開花させる獅子座の段階を象徴しています。
「土」は生命を守り育むエネルギーを象徴しています。
「土」は季節の変わり目に配置されています。小暑と大署は夏から秋への季節の変わり目です。星座では蟹座の後半と獅子座の前半の期間に対応しています。
「土」は、その言葉通り、すべてを産み育む大地を象徴しています。それは私たちがよって立つ大地であり、所属する共同体であり、集合無意識でもあります。
私たちは(良くも悪くも)「土」に象徴されるものから無意識に影響を受けています。私たちは自分が帰属する共同体や過去の行いの負債を抱えていますし、逆に、共同体のおかげで自分を超えた何かに奉仕しようという思いが呼び起こされます。
「土」に対応する臓器は「脾臓」「膵臓」「胃」「口」です。食べ物を摂取し、溶かして同化できるようにします。影でからだを支える働きが「土」に象徴されています。
坤は上から陰・陰・陰の卦(☷)です。これは地を象徴する卦です。大地がすべてを包みこみ養うことをあらわしています。
小暑と大署は一年でもっとも暑い時期です。
しかし、この時期の卦は「坤」という完全な陰の卦です。象意は「弱い」「低い」「柔らかい」「受け身」という女性性を象徴するような内容です。
まさに「外柔」です。
この時期は暑い天気とは裏腹に、自分自身を育んでくれている大地に思いをいたすタイミングかもしれません。これは、一年でもっとも大地が温められる時期=大地がもっとも注目される時期ということでしょうか。
結論「大暑」の時期を成長に活かすためのポイント
1 とにかく活力をみなぎらせる
2 何かを創る活動をする
3 まわりの人たちを楽しませる
それでは、それぞれのポイントについて解説していきます。
ポイント1 とにかく活力をみなぎらせる
大暑の時期は、内なるエネルギーをとことん活性化するときです。
自分は何に興奮するでしょうか。
誰にも情熱、意志、願望、欲情などが入り混じった混沌とした生命力のエネルギーがあります。いまは、その内なるエネルギーを活性化するときです。
まわりの目を気にするときではありません。自由を愛し、湧き上がる力に身を任せ、楽しみや喜びを求めていくときです。
自分の中にある力を信頼することを通して、誇りと自負心が生まれます。
湧き上がってくる清濁併せ呑んだエネルギーを抱えて我が道をいくのみです。
ポイント2 何かを創る活動をする
大暑の時期は、創作活動へ向かうときです。
湧き上がるエネルギーを何かを創ることに向けるときです。
洗練されていなくて大丈夫です。とにかく何かを創作することにエネルギーを注ぎ込みましょう。料理でも、イラストでも、資料作りでも、何でもOKです。嫌になったら破壊することも折込み済みです。壊しては創り、創っては壊し、創造するという経験を積みましょう。
どんな発明やアイデアも、私たち個々人の創造力から生まれてきます。
大暑は、自らの内なる力を創造的に活用するときです。
ポイント3 まわりの人たちを楽しませる
大暑の時期は、エンターテナーになるときです。
演出家やエンターテナーは、自分勝手に自己表現しているわけではありません。表現する創造力を相手にあわせて調整し、相手が楽しめることに照準を合わせています。
大暑の時期は、創造的なエネルギーのこうした使い方を学ぶときです。
ただ自分のためだけの創作活動ではなく、お祭りのように、イベントのように、舞台のように、ライブのように、そこにいる誰かを楽しませるために自己表現のスキルを使うということです。
おまけ
以上、大暑についての考察でした。