一年間を24に等分して、それぞれに季節の名前をつけたものを「二十四節気」といいます。二十四節気の15番目の季節が「白露」です。
ネット上に、二十四節気について記したサイトはあふれていますが、その深い意味を分析したサイトは見当たりませんでした。
そこで、このサイトの二十四節気の記事では、西洋占星学・十二支・陰陽五行・八卦などの視点から分析し、二十四節気を成長に活かすための方法についての考察を記しています。
1 自分と反対の性質に目を向ける
2 求められた仕事に120%で応える
3 心を社会的な制約から解放する
ざっくり知りたい方のための一般的な「白露」の意味・行事・食物など
2019年の白露はいつ?
2019年の白露は、9月8日(日)から9月22日(日)です。
白露の一般的な意味とは?
陰気やうやく重りて、露にごりて白色となれば也(こよみ便覧)
白露は、草木に朝露が降り、朝晩の気温が下がってくる頃です。
早朝の草木についた露が白く光る時期です。陰陽五行の思想では、秋は「金」が配置されており、金を象徴する色が「白色」になります。
日中はまだ暑さが残っていますが、窓を開けて眠ると風邪を引くほどに朝夜の気温が下がってきます。気候の変わり目で体調を崩しやすい時期でもあります。
また白露の時期には「敬老の日」があります。
処暑の初候・次候・末候は?
ひとつの節気を約5日ずつ3つにわけたものを初候・次候・末候と呼びます。二十四節気×3で、これをまとめて七十二候と呼びます。
● 第43候【白露の初侯】… くさのつゆしろし(草露白)
● 第44候【白露の次候】… せきれいなく(鶺鴒鳴)
● 第45候【白露の末候】… つばめさる(玄鳥去)
【初候】くさのつゆしろし(草露白)
「くさのつゆしろし」とは白露を象徴するような七十二候です。
晴れた夜には雲のない空に向かって地上の熱が放出され、大地が一気に冷え込みます。そうして冷やされた空気が結露したのが露です。
【次候】せきれいなく(鶺鴒鳴)
セキレイが鳴く頃、という時期です。
ただ、セキレイは通年で見かける鳥なので、取り立てこの時期だけ鳴くわけではありません。七十二候がつくられた頃にはまた違った様子だったのかもしれません。
セキレイは日本書紀にも登場します。イザナギとイザナギが子どもを創ろうとしたけれども方法がわからなかったときに、つがいのセキレイがやってきて交尾をしてみせました。そのおかげで無事にイザナギとイザナミは男女の交わりをして神々を産んだということです。
【末候】つばめさる(玄鳥去)
春分の頃に巣をつくったツバメたちが、南の暖かい地域へ旅立つ頃です。エサをねだっていたヒナたちも立派に成長し、数千キロの空の旅にでかけます。
この時期の後半には彼岸入りがあります。「暑さ寒さも彼岸まで」ここから先は一気に気温が下がっていきます。
映像で感じる白露
二十四節気を成長に活かすために、ちょっと深く「白露」を考察してみます
次に、二十四節気を成長に活かすために、「白露」の意味を深く考察してみます。
1. 西洋占星学から深める「白露(乙女座の後半)」の意味とは?
白露は、十二星座の「乙女座の後半」に対応しています。
獅子座までのプロセスで個人の「主観」はひとまず完成しました。次の乙女座では「他者」の存在に出会います。他者とは、自分と別の「主観」をもった対象です。
乙女座は分析の星座と呼ばれます。それは対象を詳しく観察し、分析します。具体的に、詳細に、対象について語ることができます。
「他者」を意識することで、私たちは自分が「社会」に属していることを実感します。社会に属するということは、なんらかの義務や責任を負うということです。
乙女座は、自分が負っている義務や責任について誠実に向き合います。そして、その「仕事」にきっちりと取り組みます。このように私たちは仕事を通して社会とつながっています。
乙女座はまた自己訓練の星座とも呼ばれます。それは仕事を通して自らの主観的なあり方を変化させるからです。それは他者の集団である社会のなかに本格的に飛び込むために、自らの主観的な意識を浄化するプロセスです。肥大する自我の火を鎮火する働きがあります。
乙女座の前半では、識別力という知性を働かせて、内省し、自分自身を調整しました。好き勝手に行動する獅子座の衝動を適切に処理し、社会にとって有益で価値のある自分になろうとしました。乙女座が求めるのは「人間としてのあるべき理想の姿」です。
乙女座の後半では、自分一人で自分を洗練させることの限界に気づきます。乙女座にはどこか自閉的な傾向があります。ここでは知性や管理の限界にぶつかり、必然的に、本質的なことや何が真実なのかを探求することになります。とはいえ、そのプロセスのなかで社会的な実務能力は最高潮まで高められます。
白露とは朝晩の気温が下がり、露が降りる時期です。
「白」は五行の金であり、五行の金とは何かが欠けている様子を示します。乙女座の前半で完璧さを求めて自らを磨いてきましたが、それだけでは前に進めないことに気づくのが白露の時期です。清らかさを求めるだけでは人は前には進めないということに気づきます。
また、露が地上に降りるというのは、社会的な能力が結晶化するということのシンボルです。不純物や影の要素をも抱きかかえる経験を経て、社会的な実務能力はさらに磨き上げられます。
そして、逆の視点でみると、ピークを迎えるということは次には衰退が待っているということです。社会的な能力のピークを過ぎると社会から身を引くことを考えるようになります。この衰退するプロセスは、私たちに何が本物なのか、何が本当のことなのかを探求するきっかけを与えてくれます。
自分の心という狭い世界を最高まで磨き上げ、次にその心から解き放たれるための道を模索する。これが白露の気分です。
(1)自分の知性や管理能力の限界に気づく
(2)与えられた仕事を何でもこなせる能力を身につける
(3)義務から解放されて理想的な自分を模索する
2. サビアン占星術から深める「白露(乙女座16〜30度)」の意味とは?
ここではサビアン占星術における5度ごとの意味から処暑を考察してみます。
サビアン占星術では、各星座が30度にわけられており、その5度ごとにテーマがあります。これは二十四節気が約5日ごとにわけられているのに対応しています。
● 乙女座の第四グループ = 白露の初侯「くさのつゆしろし」
● 乙女座の第五グループ = 白露の次侯「せきれいなく」
● 乙女座の第六グループ = 白露の末侯「つばめさる」
自分に対する隠しごとをなくすことがテーマ
第四グループは白露の初候(くさのつゆしろし)に対応しています。
このグループでは、白色のように隠しごとをなくしていきます。
自分に対する隠しごとをなくすとはどういうことなのでしょうか。
白露の初候は草露白です。つなげると「白露草露白」と回文になっています。まるで鏡合わせのようです。
「白」は五行の金を象徴する色です。獅子座後半〜天秤座前半が金に対応しているのですが、白露の初候はそのちょうど真ん中に位置しています。白露の草露白とは「金のなかの金」ということです。
「五行の金」は聖と俗の両面を象徴しています。金は、「清らかで汚れのないもの」を意味すると同時に「戦争や金銭や性」などの意味もあります。金にはこのような二面性があります。そして、どちらかの面にとらわれていると反対の側面が反発を起こします。
乙女座の第四グループも、影に出会うことによって可能性を広げるという意味があります。乙女座はどうしても一面的になりがちです。自分にとって良いと思うもの、清らかだと思うもの、正しいと思うものに偏ってしまいます。その逆の傾向を無意識に抑圧してしまうのです。
影はまったく逆の可能性を突きつけてきます。そして、表も裏も同じコインであることを気づかせようとするのです。影との出会いは、誰にとってもしんどい経験になります。なにせ自分が隠しておきたかった面と直面することになるからです。
この時期は「白露草露白」の回文が示しているように、表と裏の両面に気づき、どちらをも受け入れて観察することがここでのテーマです。目標は「白」に象徴されるように自分自身に対して「隠しごとをなくすこと」です。
社会的な実務能力を極めることがテーマ
第五グループは白露の次候(せきれいなく)に対応しています。
前のグループにおいては、自分の影と出会うことで可能性を広げました。第五グループでは、その両面を使ってさらに実務力を高めていきます。
前のグループを通して、自分の無意識の可能性を見つけることができました。第五グループでは、それを積極的に活用しながら社会的な能力を拡大していきます。
白露の次候は「せきれいなく」です。
セキレイがイザナギとイザナミに男女の交わりを教えたということは、表と裏がひとつになることができたということの象徴です。前のグループで、影と出会うことで、自分の表も裏も認識することができ、隠しごとがなくなりました。
これによって、やっと自分自身の総体的な能力を発揮することができるようになります。これが乙女座の第五グループです。
とはいえ、ここでは社会的な役割を果たすことが目的というよりも、社会の中で自分はここまでのことができるのだということを自分に証明することに意味があります。
社会からドロップアウトして本質を探求することがテーマ
第六グループは白露の末候(つばめさる)に対応しています。
第四グループで影を受け入れ、第五グループで全力で働き、第六グループではさらに別の可能性を模索します。
影と出会うことで自分自身の表と裏を見つめることができました。そして、それによってより効果的に能力を発揮できるようになりました。今度はその社会生活自体の「影」を取り入れることで、さらに成長しようとします。
簡単にいうと社会的な義務から自由になって、人間の理想的なあり方を探求するということです。社会的な仕事を果たすだけでもなく、精神的な探求をするだけでもなく、その両者を意識しつつ理想的な人間へと成長しようとすることがテーマです。
ですが、前の第五グループで仕事的な側面が強調されていたので、ここでは必然的に社会からドロップアウトした地点で生き方を模索するという意味が強調されるように見えます。
要は、社会から求められる義務や仕事から離れたところで、ほんとの事実や本質は何かと模索することがテーマです。
初候 自分の反対側の性質を受け入れる
次候 自分を全部使って能力を高める
末候 社会の常識や義務を離れて考える
3. 十二支・陰陽五行・八卦から深める「白露」の意味とは?
白露に対応する十二支、陰陽五行、八卦はこちらです。
● 十二支・・・「酉」
● 陰陽五行・・「金(こん)」
● 八卦・・・・「兌(だ)」
酉(鳥)は、果実が成熟の極限に達した状態をあらわしています。
酉は乙女座の後半と天秤座の前半に対応しています。
「酉」という漢字は「酒をいれる器」を象意する言葉です。
鳥は東アジアにおいて聖なるものとされてきました。朝と夜の境目である暁に、太陽のおとずれを告げて鳴く姿はまるで鳥が太陽を呼び込んだようにも見えます。天照大御神を岩戸から呼び出したのも鳥の鳴き声でした。中国では太陽に雄鶏が住んでいると考えられており吉祥のシンボルでした。
神社の鳥居にも「鳥」の字が使われています。サビアンシンボルにおいても鳥は人間の霊性の象徴とする見方があります。
乙女座の後半と天秤座の前半とは、ちょうど秋分の日を真ん中とする時期であり、あの世とこの世を結ぶタイミングと考えられてきました。それは表と裏がひとつにつながるときです。西洋占星術においても乙女座までのプロセスは個を完成させるプロセスで、天秤座からが社会的な活動のなかに身を投じていくプロセスが始まります。
また「酉」の語源である「酒」には私たちの意識を現実から少し解放して、意識の境目を曖昧にする作用があります。
「金」は新陳代謝によって生命を純粋に保つエネルギーを象徴しています。
「金」は秋という季節に対応しています。二十四節気では、立秋・処暑・白露・秋分です。
「金」は鉱物を象徴しています。大地のエネルギーが固まってできたのが鉱物です。それは大地が凝縮した結晶です。「金」の時期は、星座では獅子座の後半〜乙女座〜天秤座の前半です。この期間は「個」としての自分を完成させる段階に対応しています。まさに大地が鉱物というかたちを生み出すように、個人という結晶を完成させる時期です。
「金」に対応する臓器は「肺」と「大腸」です。どちらも排泄に関わる臓器です。
呼吸は吐くことで新鮮な空気が入ってきます。それを通して全身に酸素が運ばれます。大腸は不要なものを排泄するための働きをします。
不要なもの、余分なもの、栄養のないものを排泄することで、エッセンスを凝縮し、自分自身を完成させることがこの期間のテーマです。
兌は上から陰・陽・陽の卦(☱)です。これは盛り上がってくる陽気を陰気が弱めてくれていることを象徴する卦です。兌は「よろこぶ」ことをあらわしています。
この時期の卦は「兌」という陰気が陽気をやわらかくしている卦です。象意は「柔和」「歓喜」「雄弁」「中途挫折」という内容です。
楽しいことが好きで喜びを求める卦です。
この時期は夏の暑さが去っていき、おだやかな秋の気候の中で、自分にとっての喜びや楽しみを見つけていくタイミングかもしれません。
結論「白露」の時期を成長に活かすためのポイント
1 自分と反対の性質に目を向ける
2 求められた仕事に120%で応える
3 心を社会的な制約から解放する
それでは、それぞれのポイントについて解説していきます。
ポイント1 自分と反対の性質に目を向ける
白露の時期は、自分とまったく逆の性質を取り入れるときです。
例えば、せっかちな人はゆっくりするという性質に、几帳面な人はおおざっぱという性質に、マイペースな人は規律に合わせるという性質に、目を向けてみましょう。
どちらが正しいではなく、それぞれの良さをとらわれなく受け入れてみるときです。自分とは違う性質を取り入れることは、私たちがホリスティックに成長していくために大切なことです。
自分と反対の性質は、ついつい批判したり拒否したりしてしまうものですが、いまはそれらを積極的にとりこんでいくタイミングです。
ポイント2 求められた仕事に120%で応える
白露の時期は、実務力を遺憾なく発揮するときです。
これは与えられた義務を最高の力で果たすということです。それが仕事であれ、家庭内の役割であれ、自分で課した課題であれ、自分のもてる力を発揮して、自分の能力を心底実感してみましょう。
自分にはこれぐらいのことができるのだ、という気分を感じるときです。自分自身の有用性を実感するタイミングです。
ポイント3 心を社会的な制約から解放する
白露の時期は、自分の心に与えた制約を解き放つときです。
「常識はこうだから」「いままでこうしてきたから」「このほうが効率がよいから」「自分はこうだから」という思いから解放されるときです。
私たちは物事を分けて知的に理解しようとしますが、ここでは物事が分かれる前の本質的な事実を探求してみましょう。これは、宗教や神話や形而上学などの現実を超えた現象や、人知ではわからない事象を学ぶタイミングでもあります。
これまでの乙女座の経験を通して知的能力や批判精神をきちんと培えていたら、盲信したり、受け身になったりすることなく、超越的な事柄への探求を深めることができるはずです。
おまけ
以上、白露についての考察でした。