サビアンシンボルとは、黄道12サイン(360度)の度数に秘められた意味を詩的に表現したシンボルです。この記事は「サビアンシンボル」の基本をざっくり知りたいという方のためにサビアンの歴史などをまとめたものです。
「サビアンシンボルって何なの?」という方はもちろんのこと、サビアンシンボルは知っているけど概要は断片的にしか知らない、という方にも役に立つページです。
サビアンシンボルは事実です。
希望する人は誰でも、調べたり、使ったりすることができるでしょう。
それは一般的な現実の領域に入りこみ、人間の心の普遍的な論理の対象となります。
マーク・エドモンド・ジョーンズ
サビアンシンボルの簡単な歴史
「サビアンシンボル」はどのように誕生し、研究され、伝えられてきたのでしょうか。
サビアンシンボルの年表
1925年 | マーク・エドモンド・ジョーンズとエリス・フィラーが実験をして、360個のイメージ(サビアンシンボル)を記録する。 |
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1953年 | マーク・エドモンド・ジョーンズが「The Sabian Symbols in Astrology」(占星学のサビアンシンボル)を出版する。 |
1973年 | ディーン・ルディアがサビアンシンボルの研究成果をまとめた「An Astrological Mandala」を出版する。 |
1984年 | 直居あきらがディーン・ルディアを訪れ、師事する。 |
1991年 | 松村潔が「神秘のサビアン占星術」を出版する。 |
1997年 | 直居あきらが「定本サビアン占星学」を出版する。 |
2004年 | ブレイン・ボビーが「The Sabian Symbols & Astrological Analysis」を出版する。 |
2004年 | 松村潔が「決定版!!サビアン占星術」を出版する。 |
2015年 | サビアングループ研究会(Sabian Assembly Japan)が発足する。 |
※敬称略
海外のおけるサビアンシンボルの歴史
1925年、占星術家のマーク・エドモンド・ジョーンズが、詩人で透視家だったエリス・フィラーと実験をしました。
12サイン(星座)を360度に細分化し、その数字を書いたカードを準備して、エリス・フィラーがそれを手にとって湧き上がるイメージを記録する、というものです。
このイメージは宇宙のすべてを記録しているという「アカシック・レコード」をチャネルしたものであると言われています。ジョーンズはこのシンボルを長年に渡って研究し、その成果を1953年に書籍として出版しました。
ジョーンズが発表したサビアンシンボルの研究に取り組んだのが、音楽家でもある占星術師のディーン・ルディアです。
ルディアは東洋哲学やオカルトを学んでいました。そして、ユング心理学を学んでいる時期に、マーク・エドモンド・ジョーンズと出会い占星術を学びました。それは必然的に深層心理学と占星術を結びつける視点をルディアに与えました。
そして、ルディアは1973年にサビアンシンボルの研究結果を「An Astrological Mandala」として出版しました。この書籍は、サビアンシンボルへの興味や理解の拡大に貢献しました。
日本におけるサビアンシンボルの歴史
日本でのサビアンシンボルの歴史は、当時、神智学協会に所属してディーン・ルディアの「An Astrological Mandala」を研究していた直居あきら氏が、ルディアを訪れて師事したことに始まります。
そして、日本を代表する占星術研究家である松村潔氏が、サビアン占星術に出会い、研究し、その成果を書籍にまとめました。
おそらく日本で最初に出されたサビアンシンボルに関する書籍は、1991年に松村潔氏が著した「神秘のサビアン占星術」です。直居あきら氏もサビアンの研究成果を書籍にまとめて出版し、また、松村潔氏も複数の書籍においてサビアンの研究成果を発表されました。
両氏の活動によって、日本でサビアンを研究するための土壌がつくられたと言えます。
サビアンシンボルが日本に上陸して現在までの数十年、占星術に携わる方々が独自に研究したり、草の根的なグループ活動での研究が進みました。
2015年には、心理占星術研究会が「サビアングループ研究会」を立ち上げ、日本でも本格的で組織的な研究の場が生まれてきています。
- ジョーンズとエリスが、サビアンシンボルを発見した
- ディーン・ルディアが研究してめっちゃ広めた
- 直居あきら氏と松村潔氏が日本に紹介した
- 今、日本各地で結構研究されている(ハズ)
サビアンシンボルの基本構造
次はサビアンシンボルの基本構造をまとめてみます。
- 12サインを360度に分けている(1サイン30度)
- 各度数ごとにシンボル(意味)がある
- 30度の分類方法には、前半後半の15度ずつに分類する方法と、5度ずつ6グループに分類する方法がある
- 度数(ディグリー)に注目して分析する方法もある
という感じです。以下では、これを詳しく解説していきますね。
12サインと360個のシンボル
太陽の通り道を黄道と呼びます。この黄道に位置する12の星座を黄道12星座と呼びます。(このあたりは中学理科で習います。私は習った記憶がほぼありませんが、笑)
占星術では、12星座を12サインと呼びます。
この12サインが太陽一周分なので360度あるわけです。(ちなみに一周360度というのは小学算数で習います)
そして、360度の1度1度に詩文のシンボルがあります。
12サインのサイクルには「意味」と「ストーリー」があります。そして、12サインをさらに細分化したサビアンシンボルにも「意味」と「ストーリー」があります。
サビアンシンボルの詩文は多層での解釈が可能な、まさに象徴的な文章になっています。
天秤座7度 鶏のヒナにエサをやり、鷹から守ってやる女性
山羊座22度 敗北を潔く受け入れることで、将軍は高貴な性格を明らかにする
魚座20度 夕食のために用意されたテーブル
「神秘のサビアン占星術」より引用
エリス・フィラーが霊視したビジョンを説明し、それをマーク・エドモンド・ジョーンズがその場で言葉に書き起こしたものがサビアンシンボルの原典です。
まさに人智を超えた情報です。
それを沢山の研究家の方々が「どのように解釈すべきか」「どのように解釈することができるか」「どのように活用(応用)できるか」について研究を重ねているわけです。
サビアンシンボルの分類方法
360度のサビアンシンボルには一連のストーリーがあります。
神智学やオカルトをバックグラウンドとする心理占星学的に表現するならば「魂の成長のプロセス」をサビアンから読み取ることができるといいます。人間という魂が辿ることができる様々な経験がそこには刻印されているといいます。
つまり、人間のあらゆる経験を360個の側面(アスペクト)に分類したものといえます。
黄道は12サインあります。そして、その12サイン自体も前半6サインと後半6サインに分類したり、3サイン毎に4つに分類したり、4サイン毎に3つに分類したりと、分析するいくつかの視点があります。
同じように、360度のサビアンシンボルにもいくつかの分類の視点があります。
まず、360度のシンボルは12サインに分類されます。1サインにつき30度のシンボルに分類できます。
次に、1サインにつき30度のサビアンシンボルを、前半と後半の2つに分類する方法があります。これは日本の暦の「二十四節気」に対応する分類方法です。
12サインのそれぞれは完全に独立して存在しているわけではなく、前後のサインとグラデーションのように続いています。また反対側のサインの影響も受けています。そういう意味では、前半は前のサインとのつながりがあり、後半は後のサインとのつながりがある、という視点をもつことができます。
また、5度ずつ6グループに分類する方法もあります。これは日本の暦の「七十二候」に対応する分類方法です。
このようにいくつかの視点から分析することで、サビアンシンボルの象徴はより理解しやすくなります。
- 12サインに分類する方法(黄道十二宮)
- 30度を前半と後半に分類する方法(二十四節気)
- 5度ずつに分類する方法(七十二候)
ディグリー分析
これは各12サインにおける30度それぞれの数の意味を分析する方法です。1から30までの意味を分析し解釈します。
松村潔氏の「ディグリー占星術」という書籍にて詳細が語られています。
「万物は数である」と述べたのはピタゴラスですが、古来より西洋では数秘術、日本では数霊と、数字に意味を見出す教えが脈々と受け継がれてきました。
サビアンシンボルのディグリーを分析する手法もこの延長線上にあると思います。
例えば、5度の根本的な意味を探求し、解釈することで、どのサインの5度にも共通する意味が浮かび上がってきます。これはサビアンシンボルに骨格を与えてくれる研究だと思います。
サビアンシンボルに関わる人物
ここで取り上げたのは次の3名です。
- マーク・エドモンド・ジョーンズ
- エリス・フィラー
- ディーン・ルディア
マーク・エドモンド・ジョーンズ
● 1888年10月1日 AM8:37 アメリカ・ミズーリ州・セントルイスにて出生
● 1980年3月5日没(91歳)
● 太陽星座:天秤座9度 月星座:獅子座16度
彼の幼少期のことはあまり知られていません。ご本人も「ほとんど覚えてない」と話していたそうです。
ジョーンズは18歳の頃から映画のシナリオを書き始め、19歳では彼のシナリオが売れて執筆家・シナリオ作家としての経歴をスタートさせます。
1913年の25歳のときに占星術の研究をスタートさせました。同時期にオカルト主義者とも出会い、1914年には重要な「霊的な体験」をしたそうです。その後、精神的な探求にエネルギーを傾けるようになりました。作家としてもこの数年間で数十のシナリオを販売しています。
第一次世界大戦中の1918年には陸軍に入隊し、翌年除隊しています。同時に、作家としては変わらずに創作活動に励んでいました。
1922年からジョーンズは自身の占星術の研究を体系化しはじめる作業にとりかかりました。この年には、後にサビアンシンボルを生み出すことになる実験の前実験を行っています。また、後年「サビアンアセンブリ」と呼ばれることになる占星術のクラスを始めたのもこの年でした。翌1923年には、後年サビアンシンボルを発見する実験に協力するエリス・フィラーに出会いました。
そして、1925年、霊媒・透視家であるエリス・フィラーとの実験において「サビアンシンボル」の原型となる詩文が生み出されました。
1936年以降、彼は占星術について語りながら、アメリカ中を旅して回りました。また占星術に関する著作を多くなした時期でもあります。1952年までに占星術について講演しながら旅をすることが数度ありました。
1948年にはサビアンシンボルの新しいバージョンを作成しましたが、最初の説明の直感的な力が失われてしまったと感じたために、1951年まで、サビアン研究のプロジェクトを脇におきました。
そして、1953年、これまでのサビアンシンボルの研究成果を「The Sabian Symbols in Astrology」(占星学のサビアンシンボル)という本にまとめて出版します。このときジョーンズは65歳、サビアンシンボルの実験をしてから28年後のことでした。
(この本は)著者の30年以上にわたる占星術の研究プロジェクトにおける成果である。
The Sabian Symbols in Astrology
ジョーンズは1957年には「The Sabian Manual: A Ritual For Living」、1973年には「The Sabian Book Of Letters To Aspirants」を出版しました。また、同じ年に「サビアンアセンブリ」は50周年を迎えました。
エリス・フィラー
● 1887年9月3日 PM21:45 アメリカ・イリノイ州・ノリスにて出生
● 1938年11月26日没(51歳)
● 太陽星座:乙女座12度 月星座:魚座30度
エリス・フィラーは、マーク・エドモンド・ジョーンズの実験に協力し、実際にサビアンシンボルをリーディングした方です。
最初に、エリスが亡くなったときにサンディエゴ・ユニオンという新聞に掲載された記事を引用します。
昨日、地元の病院でエリス・フィラーが亡くなりました。
彼女の人生は車椅子にしばられていましたが、彼女のアドバイスと彼女のいつも変わらない笑顔を求める人々によって、彼女のもとへと続く道がそこにはありました。
彼女は霊的な信仰における聖職者でした。
彼女の死は、彼女と親しかった何百人の人々のうえに深い悲しみを投げかけました。
the San Diego Union newspaper on Nov. 27, 1938
その死去が新聞で追悼されるということは、地元では名前が知られた方だったことが容易に推測されます。
エリスは5人兄弟の末っ子として誕生しました。彼女は関節リウマチのせいで身体が不自由で、3歳から車椅子での生活を余儀なくさせられました。首をまわすことも難しく、かろうじて握手ができるほどだったといいます。
大人になった彼女はミディアムとして霊的なリーディングを行い、後年、地元サンディエゴでとても有名になりました。ミディアムとは霊界の存在のメッセージをこの世の人たちに伝える通訳者です。
しかし、彼女は霊的なリーディングを通じて、お金・愛情・健康などの世間的な質問に対応することでは満足できなかったといいます。そんな彼女に対して、運命は、サビアンシンボルをリーディングするというお役目を与えました。
1923年に彼女はマーク・エドモンド・ジョーンズに出会い、占星術の研究会における彼の生徒となりました。それから彼女は霊媒としての才能を発揮するようになりました。
そして、1925年の実験を迎えます。エリスとジョーンズは、カリフォルニア州サンディエゴのバルボア公園を実験の場所としました。
ジョーンズは12サインの1度ごとに1枚ずつ、合計360枚の白いカードを準備しました。このカードをランダムに、シャッフルしながら、1枚ずつエリスに提示しました。
エリスにはカードの裏面が示され、彼女はそれを見て浮かび上がる霊的なビジョンを口頭で報告し、ジョーンズはビジョンについてのエリスの説明を急いで書き留めました。
こうしてサビアンシンボルがこの世に姿をあらわしました。エリスの生涯における偉大な仕事です。占星学における彼女の功績は感謝して余りあるものです。
ディーン・ルディア
● 1895年3月23日 AM12:42 フランス・パリにて出生
● 1985年9月13日没(90歳)
● 太陽星座:牡羊座3度 月星座:水瓶座25度
20世紀の重要な占星術師の一人であるディーン・ルディアは、占星術師であると同時に作家であり、作曲家でした。
ルディアはフランスのパリで生まれ、音楽・芸術・哲学にふれて育ち、21歳のときにアメリカのニューヨークに活動拠点を移しました。この頃、彼は日本人の禅僧と出会い、東洋哲学・神智学・オカルト主義などについての研究をスタートさせました。この頃、インド神話に登場する「ルドラ神」から名前を拝借して「ルディア」という名前をつけたそうです。
そして、1930年頃、ルディアはマーク・エドモンド・ジョーンズと出会います。ジョーンズはルディアを占星術へといざないました。
ルディアが占星術を学んだのは、カール・G・ユングの深層心理学を研究している時期だったといいます。必然的に彼は深層心理学と占星術を結びつけて研究しました。彼は著作の中において「占星術のすべては現代の深層心理学の用語のなかで再定義されるべきである」と述べています。
元神智学協会員で秘教家のアリス・A・ベイリーは彼の思想が発展することを励まし、彼女の設立したルーシス・トラストという団体からルディアの書籍を出版しました。これはルディアの思想的なバックグラウンドに神智学をはじめとするオカルト的な思想があることを感じさせる出来事です。
1931年、マーク・エドモンド・ジョーンズはサビアンシンボルについてのガリ版を作成しました。マークは自身の著書において「ルディアはサビアンシンボルに魅了された」と記しています。ルディアはサビアンシンボルを研究しましたが、ジョーンズの主催する「サビアンアセンブリ」に参加したこともなく、ジョーンズの生徒というわけでもありませんでした。
そして、ルディアは1973年にサビアンに関する研究成果を「An Astrological Mandala: The Cycle of Transformations and Its 360 Symbolic Phases」という書籍で発表しました。
ルディアは、ヒッピーやニューエイジ運動にも影響を与えました。生涯で残した著作のほとんどは占星術と霊性に関するものだったといいます。
サビアンシンボルに関するWebサイト
日本語サイト
さくっとホロスコープ作成 | 生年月日を入力するとサクッと自分のサビアンがわかります |
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松村潔のページ | サビアンシンボルの案内文とシンボル一覧表があります |
sabian symbol | ルディア版を参考にした松村潔著「神秘のサビアン占星術」におけるシンボル一覧です |
すたくろ | サビアンシンボルについての(アーティスティックな)サイトです |
絵でわかるサビアンシンボル占星術 | サビアンの(かわいい)絵本やカードもあります |
心理占星術研究会 | 「サビアンシンボル研究会」の紹介ページへのリンクです |
英語サイト
Sabian Assembly | マーク・エドモンド・ジョーンズが設立した「サビアンシンボル研究会」のサイトです |
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マーク・エドモンド・ジョーンズ | マーク・エドモンド・ジョーンズのwikipedeliaです |
エリス・フィラー | エリス・フィラーについてコンパクトに解説したサイトです |
ディーン・ルディア | ディーン・ルディアのwikipedeliaです |
The Sabian Symbols | ルディア版のサビアンシンボルの原文が確認できます |
Sabian Symbols | リンダ・ヒルによるサビアンシンボルのサイトです |
サビアンシンボルを学ぶための書籍
和書
神秘のサビアン占星術
愛蔵版 サビアン占星術
定本サビアン占星学
究極のサビアン占星学
直居サビアン占星学―占星学教室
洋書
The Sabian Symbols in Astrology
An Astrological Mandala
The Sabian Symbols & Astrological Analysis
まとめ
という感じで、サビアンシンボルについてサクッとまとめてみました。
サビアンシンボルの奥は深く、研究は終わらず、探求は続きます。この記事がみなさまのサビアンシンボルの理解とご自身の成長に役に立てたら幸いです。