この記事は、実際のホロスコープセッションを、その背景となる星の配置をふまえて解説したものです。占星学についての基礎理解がある方や、占星術のコンサルテーションを行っている占星家の方を対象として書いていますので、基礎知識の解説などはしておりません。
また、セッションの様子を一字一句正確に起こしたものではなく、記事として読みやすいように編集したものになります。そのためひとつのフィクションとしてお読みいただけたらと思います。
目次
こんなクライアントさんでした
クライアントの略歴
今回のクライアントさんは、もうすぐ還暦を迎える女性です。
2児の母、編集者、ヨガティーチャーなどの経歴を経て、いまは朗読家として活動されています。編集者として厳しい姿勢で仕事に取り組んできたそうですが、スピリチュアリティに関しても集中的に学んだ時期があり現在も学びを継続されています。
2年に一度ぐらいのペースでホロスコープセッションを受けられています。今回受けられたサービスは以下のものです。ちなみにセッション時間は60分間です。
クライアントのホロスコープ
チャートの概観
今回はネータルチャートの分析ではなく、時期の流れについてがメインとなるセッションでしたので、サビアンと時期に関するイベントを列期しておきます。
1. ネータルチャートのサビアン一覧
太陽 | 魚座2度 | ハンターから隠れているリス |
月 | 射手座10度 | 金髪の幸運の女神 |
水星 | 魚座19度 | 弟子を指導する巨匠 |
金星 | 山羊座30度 | 秘密のビジネス会議 |
火星 | 山羊座29度 | お茶の葉占いをしている女 |
木星 | 射手座29度 | 芝を刈る太った少年 |
土星 | 山羊座16度 | 体操着の少年少女 |
天王星 | 獅子座19度 | ハウスボートパーティ |
海王星 | 蠍座10度 | 歯科の仕事 |
冥王星 | 乙女座5度 | 妖精の夢を見る男 |
AC | 射手座2度 | 白波に覆われた大洋 |
MC | 乙女座19度 | 水泳競争 |
2. トランジット・ソーラーアーク・プログレスの一覧
- 1804 T天王星ーN木星(トライン)〜1902
- 1806 T天王星ーN太陽(セクスタイル)〜1904
- 1810 SP月=N海王星(スクエア)
- 1902 T土星=N土星(コンジャンクション)〜1910
- 1905 T海王星=N水星・IC軸(コンジャンクション)〜2003
- 1906 SP月=N天王星(オポジション)
- 1907 SA太陽=N金星(スクエア)
- 1908 SP太陽が牡牛座入り
- 1908 T土星=N土星(逆合)
- 1910 T土星=N土星(通過)
- 1911 SA月=N海王星(スクエア)
- 1911 SA木星=Nキロン(コンジャンクション)
- 1911 T木星=N木星(コンジャンクション)
- 2002 SP月=Nキロン(コンジャンクション)
- 2003 SP月=N太陽(コンジャンクション)
- 2003 T土星=N火星=N金星(コンジャンクション)
- 2003 T海王星=N水星=IC軸を通過
- 2003 SAMC=N天王星(スクエア)
- 2007 T土星=N火星=N金星(逆合)
- 2008 SAMC=N水星(スクエア)
- 2012 T土星=N火星=N金星(通過)
- 冒頭の数字4つは年月の略です(ex.1903は2019年3月)
- 「=」はハードアスペクト、「ー」はソフトアスペクトです
- 「T」はトランジット、「N」はネータルのことです
- 「SA」はソーラーアーク、「SP」はプレグレスのことです
- ( )内はアスペクトの種類です
- 「逆合」は逆行してのコンジャンクションのことです
- 「通過」は逆合のあと、コンタクトが完了するタイミングです
こんなセッションでした
それではセッションの内容をかいつまんでまとめてみます。
主要な対話のみ吹き出し形式にしています。
今回のセッションの背景
・ちょうど今年の2月から10月末(セッション直前)までサターンリターンの時期だったので、方向性をシフトするタイミングに重なっていた。
・さらに魚座の水星に海王星がコンジャンクションしている時期でもあり、知的に分析することが難しいときでもあった。
・また、この11月が次のステージへのシフトチェンジのタイミング(後述)でもあったので、ビジョンが見えなくても当然の時期であった。
・もっといえば昨年末までは今後の方向性や理想がよく見えていた時期なので、そことの比較によって余計に「イメージが浮かばない」と感じたのではないか。
昨年の流れの再確認
- 1804 T天王星ーN木星(トライン)〜1902
- 1806 T天王星ーN太陽(セクスタイル)〜1904
- 1810 SP月=N海王星(スクエア)
まず昨年の春以降、自分自身の理想を推進させようというエネルギーに満ちていました。まだ漠然としていますが、様々な可能性を予感する気分です。
それにともなって自分の行動を変革していこうという気持ちも湧いてくる時期です。とはいえ、無理やり何かを変えたり、一気に方向性を転換するのではなくて、クリエイティブだけど現実の様子を見ながら徐々に変化させていこうという感じです。
秋には心身がビジョンに関するインスピレーションを吸収して、芸術的な感性の高まりも覚えつつ、それを自身の行動に反映さえていこうという流れです。
これが今年の頭まで続いていました。
・T天王星ーN木星は、牡羊座ー射手座で発生するため、新しい未知の境地へ突入していきたい気分が高まっていたと想像した
・T天王星ーN太陽は、創作活動(5ハウスのT天王星)を通して「ハンターから隠れているリス」というサビアンをもつ魚座2度の太陽・キロンの性格からくる引っ込み思案さへの変革を起こしたのではないか
・SP月=N海王星は、月が海王星のイメージを吸収し心身のエネルギーに浸透させる様子を彷彿とさせた
2回目のサターンリターン
- 1902 T土星=N土星(コンジャンクション)〜1910
- 1905 T海王星=N水星・IC軸(コンジャンクション)〜2003
- 1906 SP月=N天王星(オポジション)
- 1907 SA太陽=N金星(スクエア)
- 1908 SP太陽が牡牛座入り
- 1908 T土星=N土星(逆合)
- 1910 T土星=N土星(通過)
今回は人生で2度目のサターンリターンです。
1回目は29歳頃のとき、確かちょうど娘さんを出産された時期と重なっていたと記憶しています(以前のセッションの内容)。1回目のサターンリターンは大きな変化や試練を経験する方も多いですが、2回目のサターンリターンはそこまでではないはずです。
29歳までは親や社会に守られながら、その庇護下で成長してきます。それが1回目のサターンリターン以降は、自らの意志と良識によって人生を創っていく時期に入ります。
そして2回目のサターンリターンは社会をいわば超越していくタイミングでもあります。
会社に例えると、下積みの時期が29歳まで、役職を与えられて課長・部長・社長という風に組織内で役目を果たしていくのが59歳まで、そして、それ以降は役員や会長などの立場になり、組織の一歩外側から組織に働きかけていくようなイメージですね。
29歳頃からはじまった社会のなかで活動していく時期がひと区切りという感じですね。ここからは少し社会からはみ出した地点から社会に働きかけていく時期だと思います。まさに還暦です。
・SA太陽=N金星は、7月にコンジャンクションし前後半年ずつ、つまりこの一年間に影響をあたえる主軸となるコンタクトではないかと考えた
・SA太陽=N金星は、山羊座30度の金星に太陽の光があたるというイメージなので、社会的な人間としての総決算といえる感覚をハートに沸き起こさせるのではないか
・上記の引き金となったのがT土星=N土星で、このサターンリターンが「一つの山頂を乗り越えたイメージ」を具体的な実感まで落とし込んでくる役割を担っていたのではないか
・さらにT海王星=N水星・IC軸によって、心の底に新しいビジョンやインスピレーションが湧いてくることで、次に進む方向性も見えてくる年になるだろう
・水星のサビアンが「弟子を指導する巨匠」なので、T海王星=N水星によって教えられたり教えるという経験に変化や拡大があると考えた
今月から新しい始まりのタイミングだった
- 1911 SA月=N海王星(スクエア)
- 1911 SA木星=Nキロン(コンジャンクション)
- 1911 T木星=N木星(コンジャンクション)
まず、サターンリターンが先月末に完了したということが大きいです。これだけでひとつの大きな区切りです。土星は不要なものを捨てさせ、然るべき方向転換をさせますが、その流れが終わったと思ってください。
次に良い流れとして、今月、ジュピターリターンという、天の木星が生まれた時の木星の位置に戻ってくるイベントがあります。人生の可能性を大きく広げてくれる機会が入ってくる時期ですし、実際に、色々な可能性の種を人生にまくタイミングでもあります。さらに、ジュピターリターンが起きる日が、ちょうど新月の日でして、まさに始まりを象徴してくれていると思います。
その背景で発生している影響としては、今後に向けての霊的ビジョンが自分の心にまで浸透してくるということがあると思います。これは明確に自覚できなかったとしても、イメージやインスピレーションのかたちでもたらされるかもしれません。
・1910までの土星の影響から、1911から木星や海王星というやわらかな影響にシフトしている
・木星は射手座の後半にあり、山羊座(現実社会での貢献)を意識しつつ理想を描く思いが強いポイントなので、未来志向にシフトするだろう
・SA木星=Nキロンは、引っ込み思案になりたくなる心の傷や恐れを癒す働きをしてくれるのではないか(次のステージに向かうブレーキを外してくれる効果)
来年3月から本格的なスタートライン
- 2002 SP月=Nキロン(コンジャンクション)
- 2003 SP月=N太陽(コンジャンクション)
- 2003 T土星=N火星=N金星(コンジャンクション)
- 2003 T海王星=N水星=IC軸を通過
- 2003 SAMC=N天王星(スクエア)
- 2007 T土星=N火星=N金星(逆合)
- 2008 SAMC=N水星(スクエア)
- 2012 T土星=N火星=N金星(通過)
2020年3月に、個人的な新月を迎えます。新月とは「意思を象徴する太陽」と「現象を生み出すエネルギーを象徴する月」が合一するというイベントなのですが、個人的な人生における新月がやってきます。
これは29年に一度ぐらいのイベントなのですが、まさに自分自身の人生の新たな始まりのときです。最初は漠然としているでしょうが新しい方向性やビジョンや在り方が発生してくるときです。
同時に物事を現実化する力である土星が、火星と金星にコンタクトをとってくるため、その新月の影響を社会の中での活動に反映させていこうという流れも起きるでしょう。
これらの一連の出来事が3月頃に実感できると思います。
あとはその流れが2020年いっぱい継続すると考えてください。もちろん区切りとなるタイミングはあります。3月から7月までは新しい流れを前に進める時期です。7月から12月は新しい流れを見直したり、軌道修正をする時期です。12月頃にはその新しい流れが人生のなかに定着し始めているでしょう。
では来年3月に新しい流れがスタートするとして、それまで4ヶ月間ありますが、足りそうですか?
さらに別の流れもこの新月を補強してくれている様子があります。
スピリチュアリティなど精神的な思想を学んできている側面があると思いますが、これまでそれが社会的な活動にダイレクトに影響していたことは少なかったのではないかと思います。
しかし、2020年3月にこの精神的な活動のエネルギーが、社会的な役割に対して変革を迫るように流れ込んでいくというイベントがあるのです。これによって自分が社会的な在り方や役目がシフトする可能性が高いです。
もちろんそれらが活動の前面に出るというわけではありませんが、内的な理解や精神性がより活動に反映されていくスタートやきっかけを作り出してくれるのだと思います。
・SP月=N太陽については、ケースによっては前回(29年前)の時期にどのような変化が生じたかについて確認をとっても良いだろう
・T土星=N火星=N金星は、クライアントの年齢や経歴を考えても、試練的な影響ではなく、資質や能力をどのように社会のために活用するかの新たな方法を築くスタートだと考えた
・SAMC=N天王星は、精神的探求と社会的活動というクライアントの2つの側面をつなぐ機会になるのではないか
海王星の意味を顕在化させる
- クライアントにとっての「海王星とは何か?」を明確化したかった
- 理由は以下の3つのイベントが控えていること
- 2020年3月までのT海王星=N水星・IC軸
- 2019年11月のSA月=N海王星(影響は2020年春まで)
- 2021年から海王星の大きな影響が入ってくるタイミング
・ここで海王星についての一般的な解釈を複数つたえて、何か自分自身にフィットすることがないかと確認していった
・結果的に以下のようなクライアントのマインドが見つかった
ここで「弟子を指導する巨匠」と関連づけた解釈と2021年以降の流れにおいて海王星が果たす役割について解説をしました。端的にまとめると、海王星で直感したビジョンを土星の力によって現実に降ろしていく時期という感じです。
セッションの総括
- 1902から1910までが、ひとつの山越えの総仕上げの時期
- 1911が新しいスタートを切るタイミング(だが、まだ準備期間)
- 2003から本格的なスタートを切る(自分のフィールドでの変革)
- 2102から理想を現実的な活動に落とし込んでいく時期が始まる
まとめ
というセッションでした。
ここにさらにサビアンの解釈などを重ねたりするとより深く分析できると思います。
今回も有意義なセッションの時間をいただいたクライアントさんに感謝です。