● B.C.515頃〜B.C.450頃
● 感覚よりも理性的思考による探求の道をひらいた
● 「存在するものは存在する」と説き、存在論をスタートさせた
● 「存在は変化しない」と考えた
パルメニデスとは何者か
パルメニデスは南イタリアのエレア出身の哲学者です。祖国のために法律を制定するなど活躍したということです。その後、古代ギリシアのアテネにきてソクラテスにも会ったといいます。
存在論の祖とされ、感覚ではなく理性的思考によって存在とは何かを考え抜きましたが、自らの思想を語るにあたっては神話のような叙事詩の形式で語りました。
有は無にならない、無は有にならない
彼は存在論について考え抜き、語った哲学者でした。
存在するものは存在する。存在しないものは存在しない。
これはパルメニデスが語った、非常に重要な命題です。
一見、当たり前のことに思えますが、これを定義づけたことこそパルメニデスの功績であるといえます。
彼以前の自然哲学者たちは「存在は何からできているのか?」について考え、「水」「数」「原子」など、存在を構成する要素について思い思いの答えを導き出しました。しかし、それらの回答は感覚に頼って導き出されたものではないかとパルメニデスは疑問を感じたのかもしれません。
理性に従って存在について思考すると何が導き出されるのか、パルメニデスはそこを探求しました。そして、「あるものはあるし、ないものはない」という命題にたどり着きました。
例えば、りんごを細かく砕いたとしても、それが存在しなくなることはありません。どれだけ小さな要素に分解されたとしても、それが無になることはありません。逆に、無いものはどのようにしたって有るものになることはできません。何故なら、無いからです。有は無にならないし、無は有になりません。
存在は変化しない
パルメニデスと同時代の哲学者ヘラクレイトスは「万物は流転する」と説きました。一切は変化するということです。
しかし、パルメニデスは「世界は変化しない」と説きました。彼の語る「変化」とは「有が無になること」や「無が有になること」です。
あるものがあると語り、考えなければならない。
なぜならそれがあることは可能であるが、あらぬものがあることは不可能だからである。
世界があり、物があり、人があり、何かがあります。無いのではなく、有る。なぜかはわからないけれども有る。ここに存在の驚嘆すべき事実があります。それが「あるものがある」という事実です。
また、ここから次のような事実が論理的に導き出されます。
あるものは生まれず、滅びない。
あったこともなく、あるであろうこともなく、いまあるのである。
いま「ある」ものは、あるのだから、無いものから生じたとはいえません。また、「ある」ものが別の「ある」ものから生じたということもできません。「ある」ものに先立って別の「ある」ものが存在することはないからです。また「ある」ものが「無」になることもありません。何故ならそれは「ある」からです。
存在は生じることなく、滅びることもない。
これがパルメニデスが理性をもちいてたどり着いた結論です。そして、後世の存在論の発展の基礎となるものです。